ご相談
[ご相談事例]
(例)甲は、ネット上やSNSでA株式会社の商品やサービスの信用を落としたり品質を貶めるような書込みを行った。結果、A株式会社にクレームや批判の電話が殺到したりするなどしてA社の業務に支障が生じた。
このケースでは、甲が書込みを行った段階で「信用毀損罪」が成立し、また、業務に支障が生じた段階で「偽計業務妨害罪」も合わせて成立する可能性があります。よって、被害者であるA株式会社は、警察に対して甲の処罰を求めることができると考えられます。
「信用毀損罪」とは、嘘の情報を伝えることで、他者の信用を傷つける犯罪です。
最高裁判所の判決(平15.3.11)により、商品やサービスの品質を貶めるような嘘を流す場合も、信用毀損罪が成立する可能性があります。
「偽計業務妨害罪」とは、嘘の噂を流したり人を騙したりして、他者の業務を妨害する犯罪です。
「名誉毀損罪」とは、多くの人に伝わる可能性のあるインターネット、SNS上への書き込みや、社内であっても社員が複数いる場で大きな声で発言したり、複数の人にメールを送信するなどの方法で、人の社会的評価を落とす可能性のある事実※を摘示する犯罪です。
「社会的評価を落とす可能性のある事実」には、相手の社会からの評価が低下するおそれがある内容であれば全てこれに含まれ、警察への告訴の対象となりえます。
※本当のこと、という意味ではなく、具体的な嘘の内容(例;B株式会社の乙さんは会社の金を横領している、といった嘘の話)であれば該当します。
刑法第233条
信用毀損・偽計業務妨害
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
刑法第230条
名誉毀損
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。
[侮辱罪・法定刑の引上げ]
(2022年7月7日施行)
「近時、インターネット上で人の名誉を傷つける行為が特に社会問題化していることをきっかけに、非難が高まり、抑止すべきとの国民の意識が高まっています。そこで、侮辱罪について、厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示し、これを抑止するとともに、悪質な侮辱行為に厳正に対処するため、名誉毀損罪に準じた法定刑に引き上げることとされたものです。」(法務省)
[刑事手続きの流れ]
「信用毀損罪・偽計業務妨害罪・名誉毀損罪」は、具体的な侵害が発生していない場合でも、行為そのものが侵害発生の危険をもたらすと成立します。
つまり、「信用を傷つけた」「業務を妨害した」「名誉を毀損した」といった結果が発生していない場合でも、信用や名誉を毀損するような内容をネット上やSNSに書き込んだ時点で「危険が発生した」とみなし、犯罪が成立するのです。
そして加害者がSNSやネット上に投稿した後に、投稿やアカウントを削除したとしても証拠は残ってしまいます。
なぜなら、IPアドレスやプロバイダが所有する契約者情報から個人を特定することができてしまうからです。
また、Facebookの「いいね」やTwitterの「リツイート」などを活用し、信用毀損や名誉毀損の拡散を手伝ってしまった場合も、犯罪になる場合があります。
このように、SNSやインターネットで上記のような内容を投稿した疑いで逮捕されてしまうと、警察で「48時間」を限度とした身柄拘束のなかで取り調べを受けたのち、検察官に送致され、検察官送致から「24時間」以内に起訴・不起訴が決定します。
ただし、この段階では捜査が尽くされていないことが多く、起訴・不起訴の判断ができないことも少なくありません。
そこで、検察官は、身柄拘束を延長するために裁判官に対して勾留の許可を求めます。これが「勾留請求」です。
勾留が認められると、原則10日間、延長が認められるとさらに10日間、「合計20日」を上限として身柄が拘束されます。
勾留期間が満期になる日までに、検察官は再び起訴・不起訴を判断し、罪に問うべきと判断すれば裁判所での刑事裁判へと移行します。
[ご相談]
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京都府警所轄署に告訴、被害届等の手続きを行います。
他士業法に抵触するご相談には応じる事が出来ません。
京都法務行政書士事務所
京都府警察選任届出
不当要求防止責任者
梅原幸治
村田憲康